高砂市 工楽松右衛門旧宅屋根葺き替え工事


工楽松右衛門旧宅屋根葺き替え工事

2015年の11月に地元の得意先の社長から相談いただいた工事が高砂市の文化財「工楽松右衛門旧宅保存改修工事」
相談していただいた得意先の社長さんは、以前旧家の蔵の屋根葺き替え工事を依頼していただいた社長さんで、お付き合いのきっかけはホームページに載せていた他の蔵の屋根葺き替え工事の記事を見ていただいたことでした。

工楽松右衛門旧宅は屋根だけでなくあちこちかなり老朽化が進んでいて、この建物のすぐ近くの高校に通っていたボクも以前から気になっていた建物で、地元の名士の立派な建物なのにもったいないな。なんとか修理をして保存すればいいのになと思っていた建物でした。

工楽松右衛門は、日本の江戸時代における発明家、実業家。 現在の兵庫県高砂市に生まれ、兵庫で廻船業を経営するかたわら、帆布を発明し、築港工事法を考案して、択捉島の埠頭や箱館のドックを築造した。これらの業績によって、日本の海運を支えた。高砂神社に松右衛門の銅像が建てられている。
Wikipediaより引用

瓦撤去工事

今回行われる保存改修工事では屋根だけでなく、建物自体も壁、柱、床などほとんど全てを改修するのでかなり大掛かりな改修工事になります。そのために去年の12月から何度も打ち合わせを重ね、2017年1月に仮設足場工事、基礎工事、補強工事から始まり2月から屋根の上の既存の古い瓦、葺き土の撤去工事に取り掛かりました。
 約100年間雨風から家を守り続けてきた瓦は想像以上に劣化が進み、ところどころ雨漏りしている箇所もあったことで瓦の下の木材が腐り屋根が落ちてしまっている箇所もあり、その都度応急の修理しているところや特に劣化のひどい箇所には瓦の上を金属製の波板で覆っているところもありました。
工楽松右衛門旧宅 改修前既存屋根

工楽松右衛門旧宅 改修前既存屋根

既存の古い瓦を外す作業は普段の屋根葺き替え工事と変わらないのでそれほど問題はないのですが、外した瓦を運ぶ時や瓦を外した後の土を取り除く時に野地板と呼ばれる木の板が腐っていたり、ずれていたりで屋根に穴が開いているような状況で、屋根の上で動こうにもまずは足元の幅5cmほどの垂木(屋根に対して縦に固定している木)に足を軽く乗せて、その垂木に体重をかけても大丈夫か確認をしてから作業しやすい体勢を確保して作業しないといけなくて、なかなか自由に動くことすらできませんでした。

足元を確認しながら慎重に作業を進めます。

足元を確認しながら慎重に作業を進めます。

瓦、土を撤去すると屋根の上で自由に動けません。

瓦、土を撤去すると屋根の上で自由に動けません。

普段の屋根葺き替え工事はレッカー作業車を使って屋根の上の瓦や土を下ろすことも可能ですが、今回の工事は工事期間が長くなることもあり、天候の影響で工事ができなくなるのを避けるためと、改修工事中の建物が雨に晒されて傷んでしまうことを避けるために建物全体を仮設の屋根で覆っているのでレッカー作業車を使うことができず、全て手作業での作業になりました。

 

瓦、葺き土撤去後の屋根

瓦、葺き土撤去後の屋根

屋根瓦工事着工

2017年2月7日に古い瓦の撤去工事を開始し、2月13日にすべての瓦の撤去が終わった屋根はそこから2ヶ月間で屋根の改修工事を終え新しい瓦を乗せる工事が始まりました。

瓦を乗せる前に屋根下葺き材(防水シート)を貼り、瓦の並べる位置を決め(割付)、瓦を固定するための桟木を瓦を並べる間隔で打ち付けと下準備から始めるのですが、この下準備が大事な作業で、下準備を間違うと瓦を綺麗に並べることができずに歪んでしまったり、後から細かな調整をしなければならなくなったりしてしまいます。

新築の屋根の場合はそこまで慎重に下準備をしなくても建物の構造自体が新しく、屋根に歪みもないから大丈夫ですが、今回の工楽松右衛門旧宅は100年近く前の建物で、長い間誰も手入れをしてなかったこともあって、屋根も壁も柱も痛みがひどくて、建物自体が歪んでいました。古い瓦を撤去した後に屋根、壁、柱などの補修、補強をしていますけど、さすがに新築ほどの精度までは歪みが解消されているわけではないので、瓦を並べる前にいつもより慎重に下準備をしています。

屋根下葺き材(防水紙)工事

屋根下葺き材(防水シート)工事

瓦割付

瓦割付

瓦桟木打ち付け

瓦桟木打ち付け

下準備に3日かかりようやく新しく屋根に乗せる瓦を屋根の上に上げていきます。
屋根の上までは昇降機で上げますが、そこからは全て手作業で屋根の上を運んでいきます。
今回の屋根葺き替え工事で使う瓦の枚数は約22000枚。全ての瓦を使う順番ごとに屋根の上に上げて行きます。

 

作業がしやすいように瓦を置く場所を考えて屋根の上に上げて行きます。

作業がしやすいように瓦を置く場所を考えて屋根の上に上げて行きます。

さすがに今回は屋根が大きく瓦の枚数も多いので、一度に全ての瓦を上げずに瓦を並べる場所ごとに上げて行き、並べ終わると次の場所の瓦を上げていくことにしました。

工楽松右衛門旧宅の既存の古い瓦は本葺き瓦と呼ばれる最近ではあまり使われることの少なくなった瓦で、普段の瓦とは施工の仕方が違います。本葺き瓦は丸瓦と平瓦の2つの瓦を組み合わせて使う瓦で、平瓦を並べた上から間に丸瓦をかぶせていきます。普通の瓦より使う枚数が多く並べるのに手間がかかる瓦ですけど、平瓦と丸瓦を組み合わせることで重厚感があって大きな屋根に使うと迫力のある美しい屋根になります。

 

 

瓦を屋根の上に上げては並べ上げては並べを繰り返して徐々に瓦を並べて行くのですが、新しい綺麗ないぶし色の本葺き瓦が並ぶと屋根に重厚感がありながらも美しい綺麗な屋根に仕上がって行きます。特に大きな屋根に本葺き瓦が並ぶと迫力もありますね。

瓦がだんだん並んで行

瓦がだんだん並んで行くと屋根に重厚感が出てきます。

オリジナル鬼瓦

工楽家の家紋と廻船業や築港工事、帆布の発明など海運に関する事業をしていた工楽松右衛門にゆかりのあるデザインを鬼瓦に取り入れたいという要望をいただいていましたので、丸に九枚笹の家紋と波をデザインした鬼瓦を淡路島の鬼瓦製造会社に依頼して作ってもらいました。

家紋入り波型文様鬼瓦

家紋入り波型文様鬼瓦

仮設の屋根撤去

工事開始前からずっと作業をする屋根の上にあった仮設の屋根が2017年2月15日に取り外され、それまでほとんど日の光が当たらずに薄暗かった屋根に日の光が当たるようになりました。
仮設の屋根があったことで工事をすることができなかった越屋根の棟工事をして行きます。

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約1年かかった屋根葺き替え工事

今回の屋根葺き替え工事の話をいただいた時には、今のうちの会社の人員で工期に間に合うように作業ができるのか?この工事を受けることで他の得意先に迷惑をかけることになるんじゃないのか?そもそもここまで大きな建物の屋根葺き替え工事を無事に終わらせることができるのか? と不安ばっかりでした。しかし経験したことのない工事を経験することは今度絶対にプラスになるし、自信にもなる。そう思って工事を受けさせていただく決断をしました。

いざ工事が始まっても、うちの会社でこんなにも長い間一つの現場で作業をした経験がなかったこともあって、いつになったら終わるんだろうと不安になったり、思うように工事が進まなかったり、なかなか段取りで手間取ったりもしました。

2017年2月7日に古い瓦の撤去工事を開始し、新しい瓦を並べ始める下準備を始めたが4月15日、屋根の上にあった仮設の屋根が外れて仕上げの工事が終わったのが2018年2月21日。その間毎日現場で工事をしていたわけではないですが、約1年間かかってようやく屋根葺き替え工事が完了しました。

厳密に言うとまだ塀の瓦工事が残っているのですが、屋根葺き替え工事は全て完了。
1年間かけて責任ある工事を経験したことは非常に大きな自信になりました。

 

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岡 公司
播州瓦工業株式会社 専務取締役 岡 公司です。 瓦好きな屋根屋が瓦のこと、屋根のことをFacebook、Twitter、Instagram、ブログ、ニュースレターで発信しています。 SNSのフォローお待ちしています。どうぞ気軽にフォローしてください。 あなたの屋根の不安と悩みの解消のお手伝いをさせていただきます。

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